ホテル稼働率 指標(ADR、DOR、LOS)

ホテル業界における分析でよく使われる指標には、DOR(室稼働率)、LOS(平均滞在日数)、ADR(平均客室料金)がある。

  1. OCC(室稼働率 – Occupancy Ratio): 
    • 客室稼働率は、販売可能な客室のうち実際に利用された割合を示す。
    • OCC=利用された部屋数 / 販売可能な部屋数×100
    • 2023年以降、ホテル全体の平均客室稼働率は約60%で推移しており、閑散期(1~2月)は50%前後、繁忙期(8月前後)は60%以上が目安となっている。
    • 日次客室稼働率というのもあり、下のDouble Occupancy Rateと間違えないようにする。
  2. DOR(同伴係数 – Double Occupancy Rate):
    • 1部屋あたり平均何人で利用されたかを示す。
    • DOR = 宿泊人数 / 販売部屋数
    • 高いDORは、ホテルが効果的に部屋を利用し、稼働していることを示す。
  3. LOS(平均滞在日数 – Length of Stay):
    • LOSは宿泊客がホテルに滞在する平均日数を示す。
    • LOS=宿泊総数 / 宿泊した顧客数
  4. ADR(平均客室料金 – Average Daily Rate):
    • ADRは1部屋あたりの平均的な宿泊料金を示す。
    • ADR=売上総額 / 宿泊した部屋数
  5. RevPAR(販売可能な1客室あたりの収益 – Revenue Per Available Room):
    • RevPARは販売可能な客室について、1部屋あたりの収益を把握できる指
    • RevPAR = 客室稼働率OCC × 平均客室料金ADR
    • もしくは、客室売上総額 / 利用可能な総客室数
    • ホテルや宿泊施設の財務パフォーマンスを測る重要な指標の一つ
  6. その他の重要な指標
    • リピート率:常連客の利用率
    • 顧客満足度:接客、食事、施設などに対する評価。
    • 定員稼働率:客室の総定員に占める宿泊客数の割合。
    • 一人あたりの宿泊数:宿泊数が多いほど顧客単価が高くなる。
    • 宿泊比率:宿泊客と日帰り客の比率。

これらの指標を総合的に分析することで、ホテルの経営状況を正確に把握し、改善策を講じることができる。

客室稼働率と平均単価のバランスを取ることが、安定した収益を上げるために重要。

RevPARと客室平均単価(ADR)の主な違い

  1. 計算対象の客室
    • ADR: 実際に利用された客室のみを対象
    • RevPAR: 空室を含むすべての販売可能な客室を対象
  2. 収益の反映方法
    • ADR: 利用された客室の平均単価を示すため、稼働率を反映しない
    • RevPAR: 稼働率と平均単価の両方を反映した、より包括的な収益指標
  3. 計算式
    • ADR: 売上金額 ÷ 販売した客室数
    • RevPAR: ADR × 客室稼働率(OCC)、
      • または 総客室収益 ÷ 販売可能な客室数
  4. 収益の把握
    • ADR: 1室あたりの価値を示すが、ホテル全体の収益は把握できない
    • RevPAR: ホテル全体の収益状況をより正確に反映する

例えば、1万円の部屋を10室用意し、1室しか利用されなかった場合:

  • ADRは1万円のままだが、
  • RevPARは1,000円(1万円 × 10%(利用率))となる。

この違いにより、RevPARはホテルの実際の収益性をより適切に表現する指標となっている。

RevPARを計算する際の注意点

  1. 計算方法の選択:RevPARには2つの計算方法がある
    • 方法1: 宿泊収益 ÷ 利用可能客室数
    • 方法2: ADR(客室平均単価) × OCC(客室稼働率)
      両方の方法で同じ結果が得られるが、使用するデータの正確性を確認することが重要。
  2. 利用可能客室数の定義:RevPARの計算には、実際に販売可能な客室数を使用する。修繕中の客室や長期利用不可の客室は除外する必要がある。
  3. 期間の考慮:日次、週次、月次、年次など、適切な期間でRevPARを計算することが重要。季節変動や特殊イベントの影響を考慮に入れる必要がある。
  4. 付帯収益の扱い:RevPARは通常、宿泊収益のみを対象としている。レストランやスパなどの付帯サービスからの収益は含めないよう注意。
  5. 比較対象の適切性:他のホテルやマーケット全体とRevPARを比較する際は、同じカテゴリーや地域のホテルと比較することが重要。
  6. 単独指標としての限界:RevPARは重要な指標だが、これだけでホテルの収益性を判断するのは不十分。ADRやOCCなど他の指標と併せて総合的に分析することが重要。

これらの指標は、ホテル業界で収益性や効率性を評価するために重要。これらのデータを適切に分析し、戦略を立てることで、ホテルは効果的に運営され、収益を最大化できる。

参考

https://www.hotelsmart.jp/adr-occ-revpar/518/
https://www.temairazu.com/glossary/rev_par